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【アカデミー賞作品賞】『グリーンブック(Green Book)』評価・あらすじ・ネタバレ解説|ガサツな運転手と天才ピアニスト、最強の凸凹コンビが贈るロードムービー

「寂しい時は、自分から先に手を打つんだ。」心温まる、実話に基づいた友情の物語。

差別が色濃く残る1962年のアメリカ南部。
黒人の天才ピアニストと、彼に雇われた粗野で無学なイタリア系白人の運転手。
性格も育ちも、そして肌の色も全く違う二人が、一台のキャデラックに乗ってコンサートツアーの旅に出ます。

道中で頼りになるのは、黒人が泊まれる宿を記した一冊のガイドブック「グリーンブック」だけ。
フライドチキンの食べ方から、手紙の書き方まで、何から何まで正反対な二人。
最初はいがみ合っていた彼らが、理不尽な差別に直面しながらも、次第に互いを「唯一無二の相棒」として認め合っていく姿に、涙と笑顔が止まりません。
『ロード・オブ・ザ・リング』のアラゴルン役で知られるヴィゴ・モーテンセンの驚きの変貌ぶりにも注目です。

  • おすすめ度: ★★★★★(4.8/5.0)
  • こんな人におすすめ: 気持ちよく泣きたい人、バディ(相棒)ムービーが好きな人、旅に出たい人、フライドチキンが好きな人。

1. 作品情報とIMDbスコア(世界基準の客観評価)

コメディ映画界の巨匠ピーター・ファレリーが監督を務め、第91回アカデミー賞で「作品賞」「助演男優賞」「脚本賞」の3冠に輝きました。

項目詳細データ
邦題 / 原題グリーンブック / Green Book
カテゴリー映画(洋画)
ジャンルドラマ / コメディ / 伝記
IMDbスコア8.2 / 10 (Top 250入り)
Rotten Tomatoes批評家 77% / 観客 91%
監督ピーター・ファレリー
(『メリーに首ったけ』)
公開年 / 上映時間2018年 / 130分

主要キャスト・登場人物

主演の二人の化学反応(ケミストリー)が本作の最大の魅力です。

キャラクター俳優 (Actor)役柄・備考
トニー・リップヴィゴ・モーテンセン
(Viggo Mortensen)
ナイトクラブの用心棒。
腕っぷしが強く、口も悪いが、家族思いで頼りになる男。黒人に対する偏見を持っていたが、金のためにドクターの運転手となる。
ドクター・シャーリーマハーシャラ・アリ
(Mahershala Ali)
天才的なジャズピアニスト。
教養があり気品に溢れているが、その完璧主義ゆえに孤独を抱えている。あえて差別の激しい南部でのツアーを計画する。
ドロレスリンダ・カーデリーニ
(Linda Cardellini)
トニーの妻。
夫の旅を心配しつつ、手紙を待ち続ける聡明で愛情深い女性。

2. 『グリーンブック』あらすじ(ネタバレなし)

「暴力では勝てない。尊厳を保つことだけが、勝利をもたらす。」

1962年、ニューヨーク。ナイトクラブの用心棒として働くイタリア系のトニー・リップは、店が改装のため閉鎖され、一時的に失職してしまう。
そんな彼に舞い込んだのは、ある「ドクター」の運転手としての仕事だった。

面接に向かうと、待っていたのは医者ではなく、カーネギーホールの上に住む黒人の天才ピアニスト、ドクター・ドン・シャーリーだった。
彼は危険なアメリカ南部を回るコンサートツアーを計画しており、腕の立つ用心棒兼運転手を探していたのだ。

黒人への偏見を持っていたトニーだったが、高額な報酬に惹かれて仕事を引き受ける。
出発前に渡されたのは、黒人が利用可能な宿泊施設が記された旅行ガイド「グリーンブック」。
インテリで神経質なドクターと、ガサツで大食らいのトニー。
何もかもが正反対な二人の旅は、衝突の連続で幕を開けるが、南部の厳しい人種差別の現実を共にする中で、少しずつ互いの心の距離が縮まっていく。

物語の構成と見どころ

最高の「フライドチキン」シーン

ケンタッキー州を通過中、トニーが名物のフライドチキンをバケツで購入するシーンは映画史に残る名場面です。
「手で食べるなんて野蛮だ」と拒否するドクターに、トニーが無理やりチキンを持たせて食べさせる。
初めてジャンクフードの味を知ったドクターの表情と、二人の軽妙なやり取りは必見です。

ピアノ演奏の美しさ

スタインウェイのピアノしか弾かないというドクターのこだわり。
マハーシャラ・アリの演奏演技(実際にはプロのピアニストが音を担当していますが)は優雅で力強く、差別主義者たちの偏見さえも、その音色でねじ伏せていく様は圧巻です。

3. 海外の評判・レビューと「人気の理由」

観客からの支持率は圧倒的でしたが、一部の批評家からは「綺麗事すぎる」との声もありました。

👍 評価される点:王道のバディムービー

  • 普遍的な友情:
    お互いの欠点を補い合い、影響を与え合う(トニーはマナーや手紙の書き方を学び、ドクターは人生を楽しむ心を知る)過程が丁寧に描かれており、誰もが幸せな気持ちになれます。
  • ヴィゴの役作り:
    スマートな剣士アラゴルンを演じた俳優とは思えないほど、体重を20キロ増量し、猫背で歩くイタリア系の中年オヤジになりきったヴィゴ・モーテンセンの演技力が絶賛されました。

👎 批判・注意点:「白人の救世主」問題

  • ホワイト・セイバー(White Savior):
    「黒人が白人に助けられる」という構図が強調されすぎており、黒人側の視点や苦悩の描写が不十分だという批判がありました。
    また、ドクターの遺族から「二人はあそこまで親密ではなかった」という異論が出たことも話題になりました。

🧐 よくある疑問:これは実話?

はい、実話をベースにしています。
脚本に参加しているニック・バレロンガは、トニー・リップの実の息子です。
彼が父から聞いた話や、実際に父が母に送った手紙などを元に構成されています。
ただし、映画的な脚色(トニーの良い人化など)も多分に含まれている点は留意が必要です。

👁 4. Mobie’s Eye – 独自の視点

① 「逆・ドライビング・ミス・デイジー」

かつての名作『ドライビング・ミス・デイジー』では黒人が運転手で白人が主人でしたが、本作ではその立場が逆転しています。
しかし、トニーは決してへりくだることなく、対等(あるいはそれ以上)の態度でドクターに接します。
この「遠慮のなさ」こそが、孤独だったドクターの壁を壊した一番の武器でした。
トニーがドクターに教えたのは、護身術ではなく「自分をさらけ出す勇気」だったのです。

② トニーの手紙の変化

旅の初め、トニーが妻に書く手紙は「何を食べたか」ばかりの小学生のような内容でした。
それを見かねたドクターが添削を始めます。
「愛する妻よ」から始まり、詩的な表現で風景や心情を綴るように。
この手紙のやり取りは、教養のないトニーが感性を磨き、逆に理屈っぽいドクターが人間の温かみに触れていく、二人の成長のメタファーになっています。

⚠️ WARNING ⚠️

ここから先はネタバレを含みます。
ツアーの結末と、クリスマスの奇跡について解説しています。

5. 【ネタバレ注意】結末と核心の解説

最後のコンサートと「伝統」への反逆

ツアー最終日、アラバマ州のホテルでの演奏を控えた二人。
しかし、会場のレストランで、主役であるはずのドクターが「黒人だから」という理由で食事を拒否されます。
「伝統です」と言い張る支配人に対し、これまで我慢を重ねてきたドクターは、ついに演奏をボイコットして店を出ます。
トニーもまた、支配人を殴り飛ばすことなく、ドクターと共に静かに会場を後にします。

二人が向かったのは、黒人たちが集まる場末のジャズバー「オレンジ・バード」。
そこでドクターは、高級なスタインウェイではなく、古びたピアノでショパンを弾き始め、やがてバンドと共に楽しそうにジャズを即興演奏します。
それは彼が初めて、格式やプレッシャーから解放され、心から音楽を楽しんだ瞬間でした。

クリスマスの帰還

クリスマスイブまでにニューヨークに帰るため、雪嵐の中を車で飛ばす二人。
疲労困憊のトニーに代わり、最後はドクターがハンドルを握り、トニーの家まで送り届けます。
仕事を終えたドクターは、トニーの誘いを断り、一人孤独な自宅へと帰ります。

ラストシーン:ようこそ、友よ

トニーの家では親戚一同が集まり、クリスマスパーティーが開かれています。
そこに、意を決したドクターがシャンパンを持って現れます。
一瞬静まり返る親戚たち(かつて黒人の修理工を嫌った人々)。しかし、トニーが「俺の席を空けろ!」と言って彼を招き入れ、ドクターは温かい歓迎を受けます。
そして、トニーの妻ドロレスはドクターに耳打ちします。「手紙を書いてくれてありがとう」と。
彼女は、夫からのロマンチックな手紙が、実はドクターの代筆だったことを最初から知っていたのです。

6. まとめ・視聴方法

見終わった後、無性に誰かとご飯を食べたくなる、心もお腹も満たされる傑作です。フライドチキンを用意してご覧ください。

どこで見れる?(配信・レンタル状況)

U-NEXT、Amazon Prime Videoなどで視聴可能です。

※配信状況は執筆時点のものです。

▼ 次に見るべき関連作品

  • 『最強のふたり』: フランス映画の傑作。富豪とスラム出身の介護人という「凸凹コンビ」の実話ものとして、本作と双璧をなす感動があります。
  • 『ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜』: 1960年代の公民権運動時代を舞台に、黒人メイドたちの視点から差別を描いた感動作。

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